生物科学コース・大学院生物科学専攻のHP(詳細情報はこちら)
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生物科学ってどんな分野?

 生物科学コースでは、分子遺伝学・細胞生物学・生理学・発生生物学・形態学・生態学などの基礎科学や、そのバイオテクノロジー・医学・農学などへの応用について、講義や実習で広く学べます。卒業研究では、自らの手で最先端の研究を行います。

 地球上には3千万種ともいわれる多種多様な生物が生存しています。これら多様な生物は、35億年以上前に存在したたった一つの生命体から、進化によって形作られてきたものです。したがって生物内部ではたらく物理・化学的しくみの大枠は、すべての生物で共通しています。この普遍性と多様性が生物科学の2大テーマです。

 皆さんは今までに、生物に魅了され、あるいは不思議に思ったことがありませんか。それは多様な生物そのものや、教科書にあるDNA分子の二重らせん構造だったかも知れません。一方で、バイオテクノロジー・生命倫理・環境問題など、生物科学と社会との関係は、かつてないほどに重要になっています。もちろんわれわれ人間も生物ですから、自分たちのことを十分に理解するためにも生物科学を学ぶことは大事です。 生物を正しく理解するためには、分子・細胞・個体・集団・生態系という複数のレベルで生命現象の普遍的なしくみと多様性を分析し、解析する力が必要です。また、理学全体や化学・環境科学といった幅広い視野に立って柔軟な発想をもつことが、現代の生物科学に関する諸問題に取り組むために必須です。

 生物にさまざまな思いを抱いてきた皆さん。その思いを大切に、これまで単に知識として学んできた生物学とはひと味違う、生命に関わる謎の探究を一緒にしませんか。生き物好きで将来は生物に関連する職に就きたい人、ゴキブリはちょっと苦手でも普遍的な生命現象に興味を持っている人、生物の多様性に魅せられてその謎を解きたい人、生物科学コースはそのような皆さんをお待ちしています。


教育に対する考え方

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 地球には多種多様な生物が様々な環境で生命活動を営んでいます。生物の基本構造は細胞です。その細胞はさらに小さな分子から構成されています。それゆえ、生物が生きていくためには分子や細胞間の相互作用が重要です。さらに生物は1個体だけでは生きていけません。個体間のつながりや他の生物との相互関係も重要な要素です。そのため生物を正しく理解するためには、分子、細胞、個体、集団、生態系という多層なレベルで生物を知ることが必要となります。近年、生物科学の分野では単に生物を理解するということだけでなく、環境問題や生命倫理などの社会問題への対応も求められてきています。生物科学コースでは生物を分子から生態といった広い範囲で理解し、さらに様々な生物科学に関わる問題に対して、論理的に取り組めるように教育します。

 生物科学コースの講義や実習は、1年生では基礎的内容を、そして学年が進むにつれて、発展的なテーマになっていきます。一般的な講義や実習だけでなく、プレゼンテーションを重視した授業なども通じて、自らで考え、行動し、論理的に考察し、得られた結論を発信できるように指導します。それによって、知識だけでなく、物事を正しく判断する能力や直面した問題を解決する能力を養いします。そして、これらの教育目標の最終段階が卒業研究であると考えています。

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求める学生像

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 高校での授業では生物と化学や物理は全く関係が無いと考えている人も少なくないかもしれません。しかし、実際の生物は化学反応や物理学の法則で活動しています。そのため、生物を理解するためには、生物学だけでなく、自然科学全般が必要となります。生物科学コースでは入学試験において、生物を必修科目には指定していません。これは高校での基礎的な知識は必要では無いということではありません。入学してから基礎知識を学べる科目を用意していますので、不足分はそこでしっかりと力をつけてもらいます。また、自然科学の情報を入手するためには語学力は必要不可欠です。もちろん、自然科学全般と語学の能力は重要ですが、最も重要なことは生物が好きで、生物学について幅広く学び、深く探究してみたいという気持ちです。探究心と好奇心があれば、自ら進んで学び、考えることの楽しさを感じることができるでしょう。さらに、化学や物理といった高校での理科だけでなく、数学も必要であるということ、そして語学力が知識を入手するだけでなく、より多くの人とコミュニケーションをとるためにも必要な手段であることが理解できるようになると思います。我々は生物科学コースで身につけた知識やスキルを将来、生物科学に関連した様々な分野で活かしていこうという情熱と意欲にあふれた学生を望みます。


教育・研究分野

生き物を学べ、生き物に学べ

生物科学コースの教育・研究分野の特徴

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生命の普遍性と多様性を学ぶ

 生物科学コースの教育・研究分野は「分子細胞生物学」、「個体機能生物学」、「生態学」の3分野から成り立っています。これらの各分野に4〜7名の教員が所属しています。専門性の異なる教員が互いに連携を取りながら、他大学にはない多彩なカリキュラムを用意しています。生物科学コースには、(1)幅広い理学や生物科学に関する基礎的な授業と、(2)多彩な少人数制授業を含む専門的な実習や講義、(3)発展的な卒業研究などの授業があります。学生は、まずは理学や生物科学の全般を学ぶことで広い視野を得て、自分の興味にしたがって無理のない形で少しずつ専門性を高めていきます。卒業研究では、自分が好きな研究テーマについて、教員の個別指導をうけつつ独創的な研究をおこないます。

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学生生活と海外との交流

  生物科学コースは1学年約30名で、きめ細かな少人数教育を行っています。教員と学生の間や、学生どうしの距離が近く、仲がよいことも100年以上にわたる伝統となっています。河川や森林、海洋での野外実習など、生物との触れあいを体感できる実習も多くあります。さらに、国際化社会に対応した科学英語教育にも力を入れており、英国レスター大学をはじめとする海外の大学との教育交流も盛んです。

多彩な進路

  生物科学コースでは、これらの教育を通して、自ら考え、伝え、実践する理系女性専門家の育成を目指します。現在、毎年6割程度の学部卒業生がフフモッイハニア_オーオーイハニアケルヘ」、appマツヤリニスフィ(修士、マスター)に進学し、そのうちの一部が博士後期課程(ドクター)に進学します。卒業生は、バイオ・食品・製薬・環境・情報科学などの理学系諸分野の企業や公的機関、官公庁、教育職などで活躍しています。


生物科学コースの教育・研究分野



分子細胞生物学分野

 分子細胞生物学分野では、生物に本質的な現象を分子や細胞のレベルで研究し、生体分子や細胞が生物をいかに特徴づけているかを理解しようとしています。具体的には、細胞間相互作用と有性生殖、染色体構造、生体膜形成と膜輸送、単細胞生物から多細胞生物への進化、植物と微生物の相互作用と窒素固定、分子系統分類などを研究しています。こうした研究は、細胞・酵母・藻類・原生生物などを材料にして、分子生物学・生化学・細胞生物学・ゲノム解析・細胞イメージング・電子顕微鏡といったさまざまな手法を使って行われています。

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個体機能生物学分野

個体機能生物学分野では、生物がどのように機能しているのかを理解するために、多角的なアプローチによる研究を行っています。具体的には、植物の形態形成や環境への応答、細胞小器官の増殖や分化、動物の生理機能の制御メカニズムや光感覚、脳形成メカニズム、線虫・昆虫の行動最適化機序などについて研究しています。これらの研究は遺伝子工学、生理学、分子生物学、組織学、行動学などの様々な手法によって、細胞や個体レベルでの解析が行われています。

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生態学分野

生態学分野では、個体から生態系までさまざまなスケールで生物を捉え、生活史・進化・生物間相互作用や群集構造に関する研究を行っています。対象としている生物は、海域・陸水域の無脊椎動物、陸域の昆虫や植物と多岐にわたっています。野外における調査研究、室内実験、得られた情報の解析、また理論モデルの構築を行い、基礎研究から保全などの応用研究まで、生態学の諸問題に取り組んでいます。

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教員スタッフ一覧

分子細胞生物学分野
鍵和田 聡
教授
細胞機構学
研究室HP
生体膜の構造と機能に関する分子生物学的研究
キーワード:出芽酵母、生体膜、小胞体、リン脂質
西井 一郎
教授
分子生物学
研究室HP
緑藻・ボルボックス目を用いた形態形成運動・細胞分化・多細胞化の分子生物学的研究
キーワード:緑藻、ボルボックス、クラミドモナス、形態形成運動、細胞分化
杉浦真由美
教授
細胞情報学
研究室HP
原生生物の生殖と細胞間相互作用に関する研究
キーワード:繊毛虫、接合、性成熟、接合型、環境応答、共食い
岩口 伸一
准教授
分子生物学
研究室HP
菌類の染色体変異および核相変換に関する分子生物学的研究
キーワード:真菌、染色体変異、核相変換、微生物由来揮発性有機化合物、発酵微生物学
清水 隆之
准教授
細胞分子調節学
研究室HP
光合成細菌・藻類・植物を用いたレドックス応答と生理機能の調節に関する研究
キーワード:転写調節、硫黄代謝物、システイン修飾、葉緑体形成
個体機能生物学分野
酒井 敦
教授
個体調節学
研究室HP
植物オルガネラの増殖・分化に関する生理・生化学的研究、植物個体の環境応答
キーワード:葉緑体、ミトコンドリア、核様体、DNA 複製、転写
奈良 久美
准教授
個体調節学
研究室HP
植物の形態形成、及び水輸送に関する分子メカニズムの研究
キーワード:シロイヌナズナ アクアポリン 光応答 水輸送 根毛形成
川野 絵美
准教授
個体機能学
研究室HP
下等脊椎動物における非視覚系の光受容メカニズムに関する生理学的研究
キーワード:光受容、ロドプシン、松果体、非視覚、脳深部光受容器官
堀 沙耶香
准教授
個体機能学
行動最適化の原型回路モデルの動作原理に関する分子生理学的研究
キーワード:*C. elegans*、行動、神経、シナプス
岡本 麻友美
准教授
個体機能学
研究室HP
脳組織づくりの原理を探る研究
キーワード:脳、発生、神経前駆細胞、タイムラプスイメージング、力
生態学分野
遊佐 陽一
教授
集団生物学
淡水・海洋生物の生態・行動・進化に関する研究
キーワード:貝類,甲殻類,性,生活史,種間関係
片野 泉
教授
陸水生態学
研究室HP
陸水生態系の生物多様性維持機構に関する研究、里地の小さな陸水域における生物多様性保全に関する研究
キーワード:河川,水生昆虫,食物網
佐藤 宏明
准教授
生態系生物学
研究室HP
群集および生態系レベルにおける生物多様性の構造・変動・保全に関する研究
キーワード:寄生蜂,生活史,潜葉性昆虫,鱗翅目,系統地理
井田 崇
准教授
植物生態学
研究室HP
植物の繁殖生態や繁殖形質の進化に関する研究
キーワード:進化生態学,フェノロジー,ポリネーション,交配様式,資源分配

カリキュラム

生物科学コースのカリキュラムの特徴

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 地球上には多様な生物が存在し、環境と相互作用しつつ様々な生命活動を営んでいます。その姿を正しく理解するためには、自然科学一般に関する幅広い知識をもち、分子から生態系に至る多層的なレベルで生命現象を分析することが必要です。また、近年、バイオテクノロジー、生命倫理、環境問題など、生物科学に深く関わる問題について社会的な判断が求められる場面が増えてきています。以上のような観点から、生物科学コースでは、生物科学を中心とする自然科学全般に関する正しい知識を備え、ものごとを論理的に考える力と高いコミュニケーション能力をもち、社会の健全な発展に主体的に関わることができる女性人材を育てたいと考えています。そのために、低学年向けには基礎的な授業科目を設け、生物科学やその周辺の学問分野にわたる知識を幅広く修得できるようにする一方、高学年では学生それぞれの興味・目的に応じて選択受講できる発展的な授業科目を多数設け、本コースの持つ研究上の特徴を活かした専門教育を授けられるようなカリキュラムを組み立てています。また、全教育課程を通じて、学生が自ら学び考える力を身につけられるよう、自発的・能動的な取り組みを重視した教育を実践していきます。

 学部を卒業した後には、大学院進学の道も開かれています。大学院に進学すれば研究の内容をさらに発展させることができるとともに、専門的な研究の体験を通じてより高度な専門知識や技術を身につけ、自ら課題を発見・設定しそれを解決する能力を高めることができます。また、大学院卒業後の就職では、より専門性を活かした進路の選択が可能になります。


カリキュラムの内容

1年次

 1年次には、大学で「生物科学」を主体的に学んでいくために必要な「基礎的知識・技術の習得」や、野外で生物の生き方に実際に触れる「体験」を重視した学習を行います。「基礎細胞生物学」「生物多様性学」では生物の普遍性と多様性の基礎を学びます。「生物環境科学基礎実習I/II」「生物環境科学基礎演習I/II」では、基本的な実験技術に加え、データの解析法やレポートのまとめ方を実践的に学びます。森林・河川・海洋のいずれかを選択できる「野外実習」では、野外での実体験を通じて環境と生物の関わりを学びます。高校で生物を履修していない場合には、「基礎生物学1/2」で生物学の基本をまとめて学ぶことができます。

    【主な科目】
  • 基礎細胞生物学
  • 生物多様性学
  • 生物環境科学基礎演習I/II
  • 森林/河川/海洋生物学野外実習
  • 基礎生物学1/2

2年次

 2年次になると、「生物科学全般に関わる基礎的知識・技術の習得」を目的とする必修科目(「生化学」、「基礎遺伝学」、「植物/動物形態分類学実習」)に加えて、「専門分化した様々な学問領域に関する知識・技術の習得」を目的とする選択科目(「分子細胞工学」、「植物生理学」、「動物形態学」、「生態学」など)あるいは選択必修の科目(「遺伝・生化学実習」、「生態学実習」など)が徐々に増えてきます。また、生物科学に関する情報を世界中から集めたり、世界に向けて発信したりするために必要な「英語力」を身につけるための科目(生物科学英語)や、情報の要約・発表・議論といった「コミュニケーション能力」を高めるための科目(生物環境科学演習)も用意されています。

    【主な科目】
  • 生化学
  • 基礎遺伝学
  • 生物科学英語
  • 生物環境科学演習
  • 生物形態分類学実習I/II
  • 植物形態学
  • 植物生理学
  • 分子遺伝学
  • 分子細胞工学
  • 動物形態学
  • 神経生理学
  • 生態学
  • 遺伝・生化学実習
  • 生態学実習
  • 分子細胞工学実習
  • 環境生物学実習

3年次

 3年次の開講科目は全て、学生それぞれの興味・目的に応じて選択受講できる発展的な授業科目です。特に「分子細胞生物学特論/個体機能生物学特論/生態学特論」は、本コース所属教員の専門分野を短期集中形式で講義する特徴的な科目となっています。実習も全て選択式・集中開講形式となり、特定のテーマに一定期間集中して取り組むことができます。特に後期開講の「生物環境科学展開実習I/II/III」は小人数制の実践的な形式の実習であり、卒業研究への橋渡しとしても役立ちます。「英語力」や「コミュニケーション能力」を高めるための科目としては「実践生物環境科学演習I/II」が用意されていますが、2年次に比べより少人数制の多クラス同時開講形式となっており、個々の学生がそれぞれのニーズに合ったクラスを選択し、主体的に取り組むことができるように配慮されています。

    【主な科目】
  • 細胞生物学
  • 発生生物学
  • 進化生物学
  • 恒常性の生理学
  • 微生物科学
  • 保全生物学
  • 実践生物環境科学演習I/II
  • 分子細胞生物学特論I〜VIII
  • 個体機能生物学特論I〜VII
  • 生態学特論I〜V
  • 分子生物学実習
  • 細胞生物学実習
  • 生物形態発生学実習
  • 臨海実習I/II
  • 生物環境科学展開実習I/II/III

4年次

 4年次になると、学部での学習の総仕上げとして「卒業研究」が行われます。学生は「分子細胞生物学」、「個体機能生物学」、「生態学」の3分野17名の教員いずれかの指導の下で、一年間にわたりそれぞれが選択したテーマで研究を行います。各教員のきめ細かな指導の下で、それぞれの研究テーマに一年間主体的に取り組む過程で、個々の学生は正しい知識と有用な技術の活用法、および科学的な思考法を身につけ、コミュニケーション能力を高め、高いレベルの課題設定能力と問題解決能力を備えた女性人材として卒業していくことができます。一年間の卒業研究の成果は、卒業研究発表会での口頭・ポスター発表や卒業論文の形でまとめられ保管されるとともに、その一部は学会などで社会に向けて広く公表されます。

他コースとの連携について

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 生物科学コースのカリキュラムには化学コースや環境科学コースで開講される講義や演習・実験も組み込まれています。他コースとカリキュラムの相互乗り入れを行うことで、自然科学を幅広く探究するための学習体系が準備されています。


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