奈良女からの進学

大学院へのいざない

奈良女からの進学

言語文化学専攻日本アジア言語文化学Bさん

研究テーマ

わたしは近代文学、特に夏目漱石の後期作品について研究しています。学部時代、講義や演習を通じて近代文学に興味を持ち、論文作成にあたって、夏目漱石の後期作品を研究対象として選びました。それを選んだのは、明治?大正時代の生活を舞台として、丹念な表現がされている点に魅力を感じたからです。重々しく、時に抽象的な内容を扱う文面の中に、日常の手触りや人間の心模様の一端が鮮やかに表現されているのを読むと、はっとさせられます。作品を解釈するため、先行研究を読み込んだり、表現の一つ一つを拾い上げて検討したりして、作品の言葉に意味を与えていきます。 卒業論文では『行人』を扱い、先行研究では内容的、形式的に断絶していると言われている各章の繋がりについて、登場人物の比較や漱石の日記?書簡などを手掛かりに考察しました。しかし結局、断絶を上手く解釈することができませんでした。また、研究手法についてあまり自覚的ではなかった等、反省すべき点が多々あったので、修士論文では卒業論文での反省をふまえながら『道草』の解釈に取り組んでいます。作品内での「回想」「人間の内面と外面」の問題を研究の主軸に据え、論文作成に取り組んでいきます。

奈良女大学院の雰囲気

奈良女子大学は、穏やかな雰囲気の中、落ち着いて研究をすることができる場所です。小規模な大学なので、先生と学生との間の距離が近いことが特徴であり、魅力です。院生同士は非常に仲が良く、研究のことに限らず私生活のことなども気軽に話し合うことができます。院生控室に行くと必ずと言って良いほど誰かがいて、自身の研究だったり用事だったりにいそしんでいます。 研究にとって大切な蔵書環境に関して言えば、奈良女子大学の附属図書館には蔵書が53万冊以上あるものの、学内だけでは手に入らないことも多々あります。そんな時には、近隣の大学や公立図書館に出向いて資料を集めます。幸い奈良女子大学は、電車を使えば京都や大阪へ30分から1時間ほどで行くことができる場所にあります。また、奈良県立図書情報館(蔵書数62万冊以上)の蔵書を、附属図書館の受付で取り寄せて返却できる無料サービスもあります。県内国立大学附属図書館の利用カードも作ることができます。これらのサービスと、文献複写サービス、現物貸借サービスとを併せて活用することで、資料収集の効率も上がります。

修士論文

修士論文作成にあたっては、なるべくはやい段階で研究対象を定め、こつこつと研究を積み重ねるべきです。はやくから取り組んでいれば軌道修正も可能ですし、どのような研究内容でも、どこでどう論文に生きてくるか分かりません。また、1回生の時は、学部の時ほどではないものの一定のコマ数の授業を取らなければいけませんし、2回生になったらその後の進路のための活動も入ってきます。ですから、はやい段階から修士論文作成のことを念頭において活動しておいて、損はないです。

院生としての心構え

最後に、院生としての心構えについて、先生からいただいた言葉の中で印象深かった「修士論文作成には、卒業論文作成よりもずっと"自分自身"が問われる」という言葉をあげておきたいと思います。これは、大学院生には、研究対象に向き合う真摯な姿勢が一層問われるのだということを意味しているのだと思います。この言葉を常に肝に銘じて、わたし自身、研究に取り組んでいきたいと考えています。 奈良女子大学の近くには東大寺や興福寺などがあり、キャンパス内には時折鹿も顔を出します。特有の時間の流れ方をしているこの大学で、興味?関心のある分野の研究に、力一杯取り組んでみませんか。

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