奈良の鹿 かわいいだけでは済まされない?!

奈良女子大学生活観光現代GP学生による設計・発信>奈良の鹿 かわいいだけでは済まされない?!
鹿が増加することによる問題 鹿が奈良の自然に与える影響

では、鹿が好む植物・嫌う植物にはそれぞれどのようなものがあるのでしょうか??

鹿が好む植物
 山もみじ・アラカシ・いちいがし・スギ・もみの木・芝 など。
×鹿が嫌う植物×
 ナンキンハゼ・あせび・イラ草・わらび など。
 みなさんも奈良公園を散歩するとき、鹿の糞が気になると思いますが、せっかく地面を見ながら歩いているのですから、そのまわりに生えている植物に少し意識を持ってみてください。きっと、鹿が嫌いな植物ばかりが生えていますよ。特にナンキンハゼ!!奈良公園のいたるところで見られます。
 紅葉がきれいで虫もつきにくいから街路樹に使われます。そして、その実をカラスなどの鳥たちが運んでいろんな所にまき散らすことにより、あらゆる所から生えてくるのです。
 鹿が立ち上がって木の葉を食べているのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。その光景を見たとき、きっと「わぁ!!鹿が立っている!!」と一緒に居た人と騒いだと思います。この光景はたまたま見ることができてラッキーと言えるようなものではありません。この行動が植物の減少・えさ不足を物語っているのではないでしょうか。
 鹿は地面近くに生えている植物を主なえさとしています。しかし、植物が減ってきた今、鹿は2本足で立ちあがってでも高いところの葉を食べなければ生きていけないのです。皆が立ち上がって食べるわけではありませんが、どの鹿も精一杯首をのばして葉を食べています。
 その結果が下の写真です。
 普通の公園の風景じゃないかと思われた方、もういちどよーく見てください。木の葉っぱが生えている部分が始まる高さに注目してみてください。
 左の写真は上の写真に点線を書き加えたものです。ほとんどの木が同じ高さで切り揃えられているようです。
           しかし!!
 これは国や県が管理して切っているわけではありません。この点線の高さは鹿が首をのばしてとどく高さなのです。奈良公園の自然はもはや自然ではなくなってきているのではないでしょうか。
 首をのばしてえさを食べるくらいですから、地面に生えている好みの植物は全て食べつくしてしまいます。下にある写真は私有地の柵の外と中が映っています。もちろん手前側が柵の外、奥が柵の中です。
 植物の生え方が全然違うのが手に取るようにしてわかります。柵で区切られているだけですから、手前はあまり雨が降らないなどのことはありません。柵の中と外の違いは鹿が入れないか入れるかの違いだけです。
 これらとは逆に、鹿が食べることによって保たれている景観もあります。それは芝です。飛火野の芝はまるで整備されているかのように広がっています。これは鹿のが食べることの出来るぎりぎりの高さまでしか伸びないからです。

 今まで奈良公園に行って鹿を見たら、「かわいい。」とか「くさい。」としか思ってなかった人が多いと思いますが、今度奈良公園に行ったときは鹿が奈良の自然に大きく影響を与えていることを少しだけ思い出してみてください。