当研究所が研究対象とする大和・紀伊半島は中央部の険しい山地から海に向かって大小の流域面積を有する河川が多数存在する自然的な特徴、日本国家発祥の地である長大な歴史を有する歴史文化的な特徴、そして大都市や中小地方都市や過疎化の進む農山魚村が散在する日本の縮図のような社会的環境という、他地域には存在しない際だった特性がみられる。
このような大和・紀伊半島地域について、本学では主としてこれまでに、共生科学研究センターでは「共生科学」の視点から紀伊半島の自然環境の現状を調査し、さらに環境物質の計測技術の開発により人と自然の共生社会の確立を目指した研究を行ってきた。また古代学・聖地学研究センターは、奈良盆地を中心とした考古学、古代史、万葉集の研究と歴史地理データベースの作成を、なら学研究センターは紀伊半島・奈良盆地の文化や郷土研究を現代的視点から再評価する研究を行ってきた。
「大和・紀伊半島学研究所」は、平成29年3月にこの3つの研究部門を統括し、設立された研究所である。
本研究所では奈良盆地と紀伊半島について自然科学的研究、人文科学的研究、社会科学的研究といった多角的な視点から、環境・歴史・地域社会について総合的な研究を行ない、未来日本のあるべき姿を社会に発信することを目指している。また、このような研究を行う人々を支援することも目的としている。
今日の日本社会は、地方衰退・消滅の危機にある。地方社会の課題に応え地域活性化に資する学際的拠点の形成が必要となる。そのためには日本文化に根ざした思想と地域社会の現代的分析の融合により、地方の文化・自然・技術などを地域再生の基盤として再定位する研究や実践が必要となる。本研究所はこうした使命のもと活動を行う。
The institute, established on March 1, 2018, aims to conduct comprehensive studies of the environment, history and community of Nara and the Kii peninsula, and to support researchers in these academic fields. The institute is composed of three departments: the KYOUSEI Science Center for Life and Nature; the Center for Research of Ancient Culture and Sacred Place, and the Center for Nara Studies. This institute conducts original and multidisciplinary research across the boundaries of natural science, human science and social science.
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