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非平衡ダイナミクス研究室

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2015年度

集中講義
講演:郡 宏(お茶の水女子大学 基幹研究院 情報科学科 准教授)
題名: 『同期現象の理論と化学?生物学?工学への応用』
場所: オンライン
日時: 1月6日 (水)~1月8日 (金)

概要
詳細はこちらをご覧ください。



非平衡ダイナミクスセミナー
講演:小谷野 由紀(千葉大学大学院 理学研究科 博士後期課程1年)
題名: 有限領域に閉じ込められた樟脳粒の自己駆動運動
場所: 奈良女子大学理学部C棟141教室
日時: 12月16日 (水) 13:00~14:30

概要
 運動エネルギーを生み出す構造を持ち、摩擦などによってエネルギーを散逸しながら自発的に動き回る系は、自己駆動系またはアク ティブマターと呼ばれる。生物は自己駆動系の典型例であるが、複雑な運動メカニズムを持つので、生物のような運動を簡易な物 理化 学系で模倣した実験系も広く研究されている。  水面に浮かべた樟脳粒はその一例である。樟脳粒は水面に界面活性剤である樟脳分子を拡散し、表面張力勾配に駆動されて動く が、 樟脳分子の濃度場は領域の境界から影響を受けるため、樟脳粒の運動は水面の形状に依存する。例えば、擬1次元的な水面に樟脳粒を 浮かべると、水路長に応じて、水路の中心に静止した状態や水路の中心位置まわりの振動運動が観察される。実際に樟脳粒の運動 に関 する数理モデルを少数自由度の力学系に縮約することで静止状態と振動運動する状態の分岐構造を調べた。  さらに、樟脳粒の運動する水面の領域を2次元円形領域に拡張すると、静止状態が不安定化したときに表れる運動は振動運動や 回転 運動などの候補があり、どのような運動を示すのかは自明でない。そこで1次元有限系と同様の解析方法によって安定な運動を分岐論 の観点から調べた。



非平衡ダイナミクスセミナー
講演:山方 優子(京都大学大学院理学研究科 地球惑星科学専攻 博士後期課程1年)
題名: 鉄安定同位体を用いた海洋生物の鉄代謝評価
場所: 奈良女子大学理学部C棟141教室
日時: 12月11日 (金) 15:00~16:30

概要
 「鉄」は多くの生物にとって生きていくのに欠かせない元素であり、また鉄の存在が生物生産とも大きく関わっていることが知られ ている。しかし、海洋表層では陸上環境に比べて鉄存在度が圧倒的に少ない(10-7wt%以下) た め、海洋と陸上という鉄存在度の全く異なる環境に生きる生物間では鉄代謝機構が異なる可能性が考えられる。  生体における鉄代謝を知るために、鉄安定同位体比(δ56Fe/54Fe) を用 いた研究が行われている。陸上生物の生体組織(血液、肝臓、筋肉等)に含まれる鉄の同位体比は上位捕食者になるつれ系統的に低く なり、また組織ごとの鉄同位体比には差があることが知られている(Hotz et al., 2011; Walczyk and Blanckenburg, 2002, 2005)。これは、動植物が食物から軽い鉄同位体(54Fe) を優先的に摂取することを意味している。対して、海洋生物に関する報告例は限られており(Walczyk and Blankenburg, 2002)、海洋中の鉄が海洋生物の生体内でどのように吸収?代謝されているのかは不明な点が多く残されている。また、海洋環境において鉄がどのような食物連鎖を経て再利 用されるかを知ることは、海洋における生物学的鉄循環機構を解明する最も基盤的な情報となる。こうした背景により、本研究で は生 体内での鉄同位体組成の変化を利用して、海洋生物の鉄代謝や鉄のバイオサイクルに関する新たな知見を引き出すことを試みている。  分析に関しては、鉄同位体比の微小な変動を検出するため、生体試料の酸分解、陰イオン交換法による鉄の分離?回収を行った 後、 多重検出器型誘導結合プラズマ質量分析計(MC-ICP-MS)による高精度高分解能測定を行った。  本発表では、海洋と陸上生物の生体内での鉄代謝の違いと、海洋生物の生態環境あるいは動態の違いの影響などを議論する。ま た、 分析に至るまでの化学的前処理と分析に用いたMC-ICP-MSの仕組みについても紹介する。



非平衡ダイナミクスセミナー
講演:小西 哲郎(中部大学 工学部 教授)
題名: ヒメボタルの野外観察と解析:発光個体数の時間変動と相関
場所: 奈良女子大学理学部C棟141教室
日時: 11月20日 (金) 15:00~16:30

概要
 ヒメボタル (Luciola parvula) は、日本の陸地に住むホタル科の昆虫である。成虫は雌雄共に発光することで相手を発見?認識し繁殖行動に至ると考えられてい る。  ヒメボタルの発光を野外で観察していると、いくつかの不思議な特徴に気がつく。なかでも、発光している個体数が、数分から 数十 分のスケールで変動しているように感じられる事は興味深い。この変動は、ヒメボタル成虫の相互の通信と行動を考える上で重要な手 がかりとなり得ると思われるが、この変動をデータとして捉えることは、少なくとも我々の知る限りではこれまで行われていな かっ た。  我々は愛知県内のヒメボタル生息地で2時間から5時間にわたる撮影を数夜行い、一定時間内の発光数を時系列として得ること でこ の変動を捉えることに成功した。講演では、まずヒメボタルの生態について知られていることを簡単に述べた後、観察方法とそれによ り得られた発光数の時間変動を紹介し、この変動と成虫間の相関に関する解析を紹介する。  時間があれば、今後の課題についても議論したい。



非平衡ダイナミクスセミナー
講演:水口 毅(大阪府立大学大学院 工学研究科 数理工学分野 准教授)
題名: 家系図ネットワークの構造と伝搬過程
場所: 奈良女子大学理学部C棟141教室
日時: 9月26日 (土) 15:30~17:00

概要
 ヒトも含めて有性生物の家系図はネットワーク構造を持つことが知られているが、 その構造は複雑であり、その特徴づけは生物学的にも興味深い問題設定である。 我々は家系図ネットワークを有向非循環グラフとみなし、祖先と子孫をつなぐ経路 上の伝搬過程に着目し、モデルと実データの解析結果を紹介する。



非平衡ダイナミクスセミナー
講演:西口 大貴(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 D2)
題名: 長距離秩序と巨大な密度ゆらぎを示すバクテリアの集団運動
場所: 奈良女子大学理学部C棟141教室
日時: 8月24日 (月) 14:30~16:30

概要
 鳥や魚などの群れ運動に動機付けされ、自己駆動粒子系の集団運動の研究が盛んにおこなわれている。数値計算[1]や連続場理論 [2]により、Vicsekモデルなどの集団運動のモデルには様々な興味深い性質が見つかっている。その例として、「巨大な 密度 ゆらぎ」がある。これは、平衡系やランダムな系では中心極限定理により粒子数密度ゆらぎが平均粒子数密度の0.5乗に比例するの に対して、自己駆動粒子が集団運動を示す秩序相においては0.8乗に比例するというものである。  実験的検証を実際の鳥や魚の群れでおこなうことは困難である。そこで、単純な生物の例としてバクテリアを用いたり、あるい は生 物を模した自己駆動粒子として加振粉粒体系[3]?コロイド系[4, 5]?フィラメント状タンパク質[6, 7]などが用いられてきた。しかし、広い視野で粒子の向きの揃った秩序相を実現し、Vicsekモデルなど単純なモデルと対応付く結果を十分な精度で得ることはできていな かった。  我々は、集団運動研究の当初の動機である生き物を用いて、理論研究に対応付く秩序相を広い領域で実現した。通常の長さの 10? 20倍程度まで成長させた“細長いバクテリア”を擬2次元面内に閉じ込めることで、ネマチックな長距離秩序を示す集団運動を実現 した。この秩序相において、同様の対称性を持つ集団運動のモデル[8]で示されていた密度ゆらぎの指数と整合する結果を4桁 に 渡って得た。  本講演では、まず対称性の異なる集団運動のモデルの先行研究をいくつか概説し、実験で測るべき量として、密度ゆらぎ?長距 離相 関の有無などの性質を解説する。その上で、バクテリアを用いて精度の良い実験をおこなうための我々の実験デザインを解説し、得ら れた実験結果を示す。
[1] H. Chaté, et al., Eur. Phys. J. B 64, 451 (2008)
[2] J. Toner and Y. Tu, Phys. Rev. E, 58, 4 (1998)
[3] J. Deseigne, et al., Phys. Rev. Lett. 105, 098001 (2010)
[4] A. Bricard, et al., Nature, 503, 95 (2013)
[5] D. Nishiguchi and M. Sano, arXiv 1506.06591 [cond-mat.soft] (2015)
[6] V. Schaller and A. R. Bausch, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 110, 4488 (2013)
[7] Y. Sumino, et at., Nature, 483, 448 (2012)
[8] F. Ginelli, et al., Phys. Rev. Lett. 104, 184502 (2010)




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