応用微生物学教室(植野研究室)を志望
Laboratory of Applied Microbiology and Biochemistry
研究室(講座)ってなに:
  4回生になると,理系の研究室では研究室(講座)配属になって卒業研究を行います.文系では”ゼミ”と呼ばれるものに相当するのでしょう.(毎日,研究室に来て実験を するんですよ).食物栄養学科では,教授・助教授・講師という具合に研究指導できる教官がいます.それぞれの研究室・教官についてはホームページを参照してください (/life/food/lab/).
 食物栄養学科では,卒業研究は卒業のための必須科目であることより,全員まじめに自分のテーマに取り組むことになります.私たちは,研究室を小さな一つの社会として考え,教室員は家族のように付き合うことにしてます.ですから,一般社会と同じようにいろいろなルールも設けています.もちろん,朝夕の挨拶から始まります.そのほかに,部屋の掃除,整理整頓,勉強会,研究室旅行,などいろいろな活動を行います.
 大学を離れた時,心のよりどころとなるのは多分研究生活を送った研究室でしょう.いっしょに苦楽(?)(いや,学業かな?)をともにした学友は多分一生の友となることでしょう.研究室とは,そのような場所です.
配属先の研究室を選ぶ:
 食物栄養学科では,3回生の1月ころに卒業研究を行う研究室への配属を決めます.3回生のクラスが自主的に配属希望リストを主任に提出し,教官側の都合と合わせて決めるようにしてます.なぜこの時期に...ということは,一部の学生は就職活動を2月くらいから始めるためで,卒業研究のテーマとか概要を会社側から聞かれるからです(まだ卒業研究そのものを始めていないのに, 随分と矛盾してますね).でも,大学院を目指す学生は急ぐ必要はありません.
  食物栄養学科では,3回生の後期に「食物科学研究法」という科目を全教官が担当しています.この時間には,それぞれの教官の研究室の研究内容や研究への取り組み方,それに人生観などを学生に伝える効果があります.また,3回生の希望により,昼休みを利用して,研究室に配属された4回生による教室室紹介も行っています.個人的には,3回生に限らず,1・2回生でもどしどし研究室に出入りして研究に対する興味を持つことです. 「あらかると」という名著も毎年活用されているようです.
 実際に,どのような基準で配属先の研究室を選んでいるのか,という問いに答えるのは難しいですね.「面白いと思ったから」「先輩を知っていたから」などいろんな理由で選ぶのでしょう.でも,できれば自分の意志で選ぼうではないか.
2000年4月に植野が赴任してからの研究室配属学部学生数と進路は次に示すとおりである.
年度 人数 (名) 進路
2008 6 大学院(5),企業(1) (予定)
2007 8 大学院(5),企業(3)
2006 4 大学院(3),企業(1)
2005 6 大学院(3),企業(3)
2004 4 大学院(3),企業(1)
2003 6 大学院(2),企業(4)
2002 8 大学院(2),企業(5)
2001 4 大学院(2), 企業(2)
2000 4 高校教諭(1), 企業(研究職)(2), 大学(非常勤)研究職(1)
                                    
研究内容:
 研究に関する情報は,研究室のホームページを参考にして欲しい:/life/food/mbio/research.html

 基本的には,学生は自分で興味のあるテーマを決めることを原則としている.「これは面白い」「遺伝子工学をしたい」「タンパク質をいじりたい」など,理由はどうあれ,最終的には自分で”このプロジェクトをしたい”というテーマをすることになる. 

 この研究室では,このテーマはこの子,あのテーマはその子,式のテーマ決定はしません.自分で問題点を見出して,解決策を探し出す訓練をしてゆくのですから,自分で面白いと思うテーマを決めるのです(もちろん教授と相談しながら).さもないと,研究する意欲は長続きしません.また,この訓練は将来,社会にでたときに役立つのです.
でも,もっとやさしい説明が必要と思うので,掻い摘んで紹介しよう: 
生化学をしてみたい:
 ここでいうところの生化学は,「生化学」という教科で習ったようなことではなくて,”生物(もしくは生命)”を”化学”の目で見つめること,と考えていただければよい.一昔前は,生化学といえば「有機化学」とも深い縁があったが,昨今では,有機化学的な反応論そのものを理解できるほどのトレーニングがなされなくなり,いわゆる遺伝子をいじって何か見つけました系の研究が生化学でも主流である.とにかく,化学の心を持って自然を考える学問をしたい人,いらっしゃい.
微生物をいじりたい
 微生物とはもちろんアレですよ.小さい小さいものです.でも,微生物も馬鹿にしないで.多くのノーベル賞級の研究は,微生物をつかって行われたのですから.まだまだ判らないことばかりなのです.応用微生物学研究室では(もちろん微生物という名前がついているので),酵母を主体とした微生物について生化学的な観点から研究を進めています.ちょっと例をあげると:

  1.酵母のGABA(ギャバと呼ぶ)についての研究:GABAはアミノ酸の一種であり,血圧の上昇を抑えるなど健康管理に有益な生理活性を示すことより,健康食品の成分として注目されている.酵母は,パン,ビール,ワインなどの食品生産に広く利用される微生物であることより,酵母がどのようにGABAを生産するかを研究することは,産業の発展のために大切と考えられる.もちろん,酵母は,動物細胞と比較すると,よりシンプルな系であり,高等動物と同じような細胞の仕組みを持っている.だから,酵母の性質を理解すると,ヒトの病気などの解明にも結びつくのです.
  2.タンパク質は,細胞の中で,合成されてから死に到るまで同じ場所に座っていることはない,ということは誰でもが想像できることですね.でも,これを本気で調べようと思うと大変なのです.ある種のタンパク質は,既に,細胞の中を移動して,活躍できる場所に到達することは知られています.そのようなタンパク質の動きを眺める技術をもつと,いろんなタンパク質の動きを理解できるのです.
動物もいじってみたい:
 GABAは高等動物では神経伝達物質として作用することより,動物を使う研究が一般的です.当研究室では,消化器系におけるGABA合成の役割解明を目指しています.舌では,味覚との関係,胃や腸では,ホルモン分泌,消化液の分泌などとへの関与を検討しています.解剖学的な手法も必要とされる場合があります.
バイオテクもしたい
 (よくばりなあなたに)
 現代の研究の流れは,遺伝子操作を行って,改変部位の生体への効果や発現するタンパク質への効果を検討することで,間接的に生体やタンパク質の機能を解析する,ということが主流です.その点においては,当研究室でもいわゆるバイオテクなる手法を多用します.ほぼ全員が原理からその利用までを理解してから社会に巣立っているといえます.

Updated on Aug. 4, 2008