研究分野
研究内容
(1) 脳機能イメージング技術の開発
現代の認知神経科学において脳メカニズムを調べるためのツールとして,MRI装置を用いた脳機能計測技術が多く用いられている.この方法では,脳のどこが活動することで認知機能を実現しているかという空間情報を得ることができる.一方で,どのタイミングで活動するかという時間情報を得ることが苦手である.この時間情報を得意とする手法として,従来から脳波計測が多く用いられているが,この方法では空間情報について詳しく知ることに限界がある.そこで我々のこれまでの研究では,脳波計測中の脳活動をMRI装置内で同時に計測することで,時間情報と空間情報についての脳機能計測技術の限界突破に挑戦している.これまでに開発した方法は,国際的権威のある神経科学論文誌の論文賞を受賞するなど,世界的にも高く評価されている.
(2) コミュニケーションの脳メカニズムの解明
コミュニケーションに必要な脳の諸機能のメカニズム解明を目指して研究を進めている.例えば,音声コミュニケーションにおいては,音声リズムと脳リズムがシンクロすることで,音声理解を実現していることを,脳波計測および脳波とMRIの同時計測により明らかにしている.その他に,記憶や言語理解など,コミュニケーションの基盤となる機能を実現する脳メカニズムを検証してきている.
(3) コミュニケーション支援技術開発
コミュニケーションの脳メカニズムに基づいて,円滑なコミュニケーションを支援する技術開発を開始している.コミュニケーションの実現には,脳波で観察される振動的な脳活動のシンクロ現象が重要な役割を担っていることが明らかになりつつある.そこで,この脳活動を外部から操作することで,円滑なコミュニケーションを支援する技術開発に取り組んでいる.また,ブレイン?コンピュータ?インタフェースなどのように,脳から直接的に情報を取り出すことにより,新たなコミュニケーション?チャネルを創出する技術開発にも取り組む計画である.
主な論文
- Mizuhara, H., & Yamaguchi, Y. (2007). Human cortical circuits for central executive function emerge
by theta phase synchronization. Neuroimage, 36(1), 232-244.
- Mizuhara, H. (2012). Cortical dynamics of human scalp EEG origins in a visually guided motor
execution. Neuroimage, 62(3), 1884-1895.
- Onojima, T., Kitajo, K., & Mizuhara, H. (2017). Ongoing slow oscillatory phase modulates speech
intelligibility in cooperation with motor cortical activity. PLoS One, 12(8), e0183146.
- Mizuhara, H., & Uhlhaas, P. (2021). The Role of Temporal Contingency and Integrity of Visual Inputs
in the Sense of Agency: A Psychophysical Study. Front Psychol, 12, 635202.
- Allal-Sumoto, T. K., Sahin, D., & Mizuhara, H. (2024). Neural activity related to productive
vocabulary knowledge effects during second language comprehension. Neurosci Res.
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