脳波や近赤外光線分光法(NIRS)等を用いた脳からの生体情報を計測する方法と、経頭蓋磁気刺激法(TMS)や経頭蓋電気刺激法(tES)を用いて脳に刺激を与え、その反応性を計測する方法により、感覚・運動制御・運動学習・認知機能等に関する脳内メカニズムの解明を目指して研究を進めています。また、ハイスピードカメラ等を用いて様々な動作を対象とし、実際にどのように運動学習が進んでいるのか、動作メカニズムに関する研究も行なっています。
共同研究先として、早稲田大学スポーツ科学学術院・早稲田大学人間科学学術院・脳情報通信融合研究センター(CiNet)・自然科学研究機構 生理学研究所・順天堂大学スポーツ健康科学部・立命館大学スポーツ健康科学部・車いすバスケットボール男子日本代表チームなど、企業とは生活用品メーカー・電気機器メーカー・プロ野球球団などと共同研究実績があります。
本研究ではヒト脳の感覚・運動・認知機能の個人差について、実験心理学・脳神経科学・遺伝学・スポーツ科学の研究手法を組み合わせて検証し、多様なヒトの個性を理解する取り組みをしており、学術的独自性に富んだものです。遺伝子多型の研究においては、アルツハイマー型認知症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などといった病気や発達障害における脳神経活動との関連について、これまで数多く報告されてきました。本研究では健常者の多様性を対象とし、認知行動・脳神経・遺伝子レベルより、多階層的に解明できる点において創造性があります。また実験データを得るだけではなく、実際のパフォーマンス向上に向けた応用・実践研究も含めており、体育や一般スポーツの現場、プロスポーツの現場に至るまで、役立つ貴重な情報をフィードバックすること目指しています。運動スキル獲得や運動学習の機序解明という観点からすると、リハビリテーション科学・神経科学・認知科学等においても重要な研究内容であり、他分野にも新しい知見を提供できると考えております。